CARSON TOP製作

 

カーソンは骨組みを作り、その上に網を張り、その上に綿を敷き詰め、 最後に生地を張るのが当時のやり方で,それを1台、1台作るのは大変で
ジーンウィンフィールドなどがFRPで型取りして売り出したのが、 今ではカーソン=FRPになってると思います。
今回FRP型の出ていない55yCADILLACのCARSON TOPを当時の作り方に習い、 また私なりの工夫を加えて作ってみました。

 

 
 

アルミ材をパイプベンダーなどで曲げて枠となる4辺を先に作って行きます。 フロント、リアは現物の相手側に現物合わせで合わせて行きます。
特にリア側は3次元カーブなので、とても苦労します。
微妙な所はガスで炙ったりもします、炙りすぎるとアルミは、いきなりポロッ!と折れてしまいますので加減が必要です。
とにかく、この箇所を確実に作らないとTOPが歪んで見えたり、浮いた様に見えたりするので根気よく確実に精度良く作ります。
サイドは任意になります、クォーターガラスの大きさバランス、ガラスとルーフの角度ラインを自分で決めます。
(今回はクォータガラスは前方に5インチ詰め、ガラスルーフラインは人が肘を乗せるドアラインと合わせて作りました。)
確実な精度を出すためサイドのラインの製作には木型を作り、その木型に合わせてアルミ材をパイプベンダーで曲げて行きます。
これで枠となる4辺が出来、次はルーフラインの製作になります。

     
     
ルーフラインは、いかに自然なラインに作るかが決め手だと思います。
車のルーフを見れば分かりますが、直線部分は殆ど無く、殆どが3次元ラインで構成されています。
今回は軽量にすることも考えながら製作しましたのでルーフラインのポイントとして 枠の中に最低限の3点のポイントで区切り、フロントからリアに流れるラインをイメージしながら 3本のアルミ材を入れました、もちろん全面アールの木型を製作しています。
それから補強としてリアガラスや縦方向にも微妙なアールを付けたアルミ材を追加していきます。 常に重量計算もしながらです。
そしてクォーターガラス可動用ににオリジナルと同じようなコの字の窓枠レールを製作します、 これもやはり角パイプをベンダーで曲げ最後に1辺だけをカットします。 そしてルーフ枠にボルト止めすれば出来上がりです。この時点で総重量15キロぐらいです。
両手で頭の上まで持ち上げることが出来ます。
     
 
     
次に全体に網を張りました。(値段も考え安い亜鉛の網を使用しました) かなり雰囲気が出てきました。後は内装屋を呼び打ち合わせをします。
私は20ミリぐらいの固めのスポンジを引っ張るように張って欲しいと伝え、 それと1番上に張る生地を選びカーソンを預けました。
そして出来上がってきたのですが、良く見ると骨のラインが出ていてカーソンと言うより コンバーチブルの幌を被せた状態に似た物になっていました。
納車が決まっていたので1度これで出しましたが、オーナーに気に入らないので、 もう1度手直ししたい事を伝え、もう1度入庫させてもらいました。
     
 
     
早速、生地を剥して見ると、20ミリのスポンジではなく5ミリぐらいのスポンジでした。 これでは確かに骨組みの後が出てしまうでしょう。
また内装屋に出しても良いのですが、結果に信用が出来ないので、 こうなれば骨組みの段階で完全にラインを作ったほうが確実だと思い、やり方を変更しました。
     
     
カーソンの前半分の2次元が強い所は網を外し0.8ミリのアルミ板を骨にボルト止めで貼り付けました。良い感じです。
後ろ半分は3次元が強いため網上に発砲ウレタンフォームを吹きつけ、カット、削りを行い整形しました。良い感じになりました。
これに、剥がした生地を再度被せ出来上がりです。最終重量は27キロぐらいになりました。一人で持てるギリギリの重量でしょう。
最終的には、初めから、こちらの方法の方が確実で良かったと思っています。
     
 
     
今回の製作のポイントは木型です、あまり自動車業界では聞かないアイテムですが、 ゆるいアール物や立体物の製作には昔から使用されているアイテムです。 今ではコンピュターの普及でマシニング等のプログラムで木型も使わなくなってしまいましたが、 1品物の製作には、やはり木型製作でしょう。

今回の作業を応用していけば、脱着式ハードトップやCHOPPEDコンバーチブル(開閉式)などの製作も可能になります。
     
ダコタデジタルメーター
     
ハイテックなショーカーに最近良く使用されているダコタデジタルメーターです。
車自体ハイテックな仕上がりじゃ無くても、ワンポイントとして ダコタデジタルを入れてみるのも良いと思います。
人気のあるインパラやベルエア等はダコタデジタル社が各車専用に 出していますのでボルトONで交換取り付け(配線の引き直しは必要)できます。
その他の車は汎用のダコタデジタルメーターを使用しメーターベゼルの製作が必要です。
画像は55yCADILLACに最近出たオーバルタイプの汎用ダコタデジタルを 使用しメーターベゼルから製作したものです。
かなり雰囲気が変わり近未来ぽくなり良いと思います。
next →